田舎の母に捧げるバラッドK

フシギな都会にいる僕が、田舎の母に送るコトバ

カエルの季節なので、僕は戦うことをやめない

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やあ、母さん元気かい。

 

だいぶ暑くなってきたね。
そろそろ夏なのだけど、なにか気温が不安定ではっきりしない。
こんな時には水を飲んで、熱中症には気をつけてくれよ。

 

今日は時間が空いたので、気分転換に窓を掃除した。

 

窓を拭くと、白い雑巾は黒く汚れる。
ここは5階だけど、車の排気ガスのせいなのか、どこかの工場のせいなのか、とにかく都会には何か黒いものが空をまっているのだろう。
拭くと真っ黒になる。

 

まあ、汚れがすごく落ちてる感じがして、気持ちはいいのだけど、そんな空気がただよっているかというと、ちょっとゾッとする。

 

しかし窓を拭いていると、田舎の窓を思い出す。

 

カエルがはりついた窓を…

 

うちは田んぼが近いせいか、夜になると何匹かのカエルが窓にはりついている。
飛んでいる小さい虫が、家の光に誘われてたくさん窓際にたくさん飛んでくる。
その虫を狙って、カエルたちは窓にはりつく。
そしてそれをとらえ、パクリと食べる。

 

田舎にいた頃は、夜に歯を磨いている時に、ボーとその光景をたまにながめてた。

 

よく見てると、カエルは常に獲物を求め、動き続けるわけじゃない。
たいていは自分の決めた位置で、動かずジーと獲物が近くにくるのを待っている。
そして獲物がやってきたら、パッとすばやく食べる。
その一瞬の動きは、目にもとまらなぬ速さだ。

 

もちろん、毎回うまくいくわけじゃなく、失敗もよくする。
しかし、失敗しても深追いすることなく、その場にジーととどまる。
その姿はまるで「ガンマン」だ。

 

一対一の対決でガンマンが銃を抜くがごとくに、静かにその時をまち、一気に抜き撃つ。
撃つのは1発だけだ。1発で仕留める。2発目を撃つなんて無粋。
1発で外したらその戦いはおしまいだ。

 

時には「(が)」という大きな獲物にもカエルはかみつく。

 

小さめの蛾でも、食べようとするのはなかなか難しい。
くわえるが一気に飲み込めない。
何度か口の格闘のすえに、やっと飲み込む。
大収穫だ。

 

大きめの蛾でも、彼らは戦いをいどむ。
その大きさは無理だろ!」と心の中で僕はツッコムが、彼らはかかんに挑戦する。
もちろん失敗。
しかし、彼らには限界なんてない。いつだって限界をこえようとしている。

 

蛾の時の戦いの緊張感は、なんともいえないものがある。
無謀な戦いにいどむ彼らの姿が。

 

そんな感じでよくボーと見てた。
何か見てて飽きないんだよな。なんでかな?

 

もちろん、都会の窓ではそんなことは繰り広げられていない。
窓をみても、そこには都会の夜景しか見えない。

 

もし都会にカエルがいたならと想像してみる。

 

たくさんの光がある都会なので、光にむかって飛んで来る小さい虫は分散するだろう。
虫が100いたら、光が多すぎて10ずつに分散。

 

そんな中、カエルが窓にはりついていても、獲物の数は少なく、なかなか獲物はやってこないだろう。
待っても待っても、その銃を抜くことがないだろう。
それでも彼らは待つのだろう。

 

必ず来る。ここにいれば獲物がくる。ここにいれば全てがうまくいく。

 

いつかやってくる。

 

いつか、いつかと。

 

夢を信じて。

 

しかし獲物はやってこず、待ってる間に息絶えてしまうのだろう…

 

 

まあでも、カエルも待つのを諦めるか。いつまでも待ってられないし。
みんな自然に帰っていく。それでいいのか。
だから都会にはガンマンのカエルはいないのだろうな。

 

そういえば、そんなカエルがよくいた田舎だったから、たまに家の中にカエルが入ってくることがあったね。
そんな時に母さんが「あらまぁ、カエルちゃん家にはいっちゃって~。こっちぃですよ~」と言って、逃げるカエルをなんとか誘導し、よく外に逃がしていたね。
なんでか赤ちゃん言葉なんだよね(笑)

 

今年もそんな格闘が繰り広げられているのかな。

 

それじゃあ、また。
ガンマンのカエルによろしく。