田舎の母に捧げるバラッドK

フシギな都会にいる僕が、田舎の母に送るコトバ

家具に凝ってるので、僕は頭を振り続ける

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やあ、母さん元気かい。

 

また家具のボックスとか買ってないかい。
母さんはすぐ、何かを入れるボックスを買うからね。
物を捨てれず、物が増え、それを整理しようとボックスを買う。
その繰り返しだし。

 

昔の人は、物を捨てれないからな。
空き箱ですら、なかなか捨てないからね…
やれやれ、家がゴミ屋敷になってないか心配だよ。

 

家具といえば、こっちに来た当初は、僕にはほとんど家具なんてなかったな。
初めての部屋では家具もなく、野ざらし状態の生活。
ご飯を食べるためのテーブルすらなかった。
今で言うと「ミニマリスト」といえるかな(笑)
といっても母さんにはわからないか。

 

実際それでどう生活していたのか、なぜか思い出せない。
記憶喪失になってる。
まあ都会に来た当初はバタバタで、いろいろ大変だったからな。
家での日常なんてなかったし。

 

そんな僕も、次の引っ越した部屋あたりから家具を買いだした。
作業用の机、本棚、食事用のテーブルなど。

 

特に「無印良品」の家具を買っていたな。
シンプルな形が好きだったから。
といっても田舎にはまだ、無印良品はないかな。

 

で、そんな家具熱がじょじょに高まりつつある時に思いついたんだ。
ロッキングチェアがほしい!」と。

 

ロッキングチェアといっても、若者が頭ふって暴れているような音楽のことじゃないよ(笑)
椅子のことだよ、椅子。ユラユラ揺れる椅子のこと。

 

僕は時々、妙なことを思ってたりする。
どこか海外の田舎の家で、おばあさんがユラリユラリと揺れるロッキングチェアに、なぜか憧れをいただいていた。
暖炉のある歴史ある味わいある家で、庭には素敵なガーデン。
母さんの好きな国営放送でも、そんな番組ながれるんじゃないかな。

 

無印良品にはそういうのないので、他の家具店を探す。
探してみると、偶然にも田舎の方で作ってる会社があることをしる。
海外でしか作ってないのかと思ってたら、うちの田舎の方でも作っていることにビックリだよ。
職人の手づくりで一つ一つ作っている一品だ。
共感ばりばりに頭をふる(ロッキング)。

 

そこで都会にショールームがあるとのことでいってみる。
都会といっても少し外れた、なんだか聞いたこともないような町だった。
実際に都会とは思えないような地味な町。
そこでショールームをみつけるのは苦労したよ。

 

中はけっこうこじんまりとしてて、ところせましといろんな家具が置かれてた。
ロッキングチェアだけじゃなく、いろんな椅子や、こまごました家具。

 

そこにいたのはオジサン1人だった。
お姉さんじゃなくオジサン。ショールームっていったらお姉さんじゃないの?
そんな疑問も抱いたが、まあまあそれも田舎の味だと勝手に納得した。

 

あきらかに客がそんなに頻繁にくるような感じではなく、オジサンも来客の僕に少し驚いていた。
こんなところまで買いに来た僕を、変わってると思っただろうな。
僕だってそう思う。

 

話を聞くと、どうやらオジサンも同じ地元出身の人だった。
オジサンはたしかに地元の感じの雰囲気がした。
そういう感じってわかるんだよね、不思議と。
共感ばりばりに頭をふる(ロッキング)。

 

オジサンは優しく丁寧に説明してくれた。
椅子のこと、会社のこと、地元のこと。いろんな話を。
だいぶ長々と熱く話をし、いつの間にか数時間たっていた。
オジサンも都会で地元民に会って、心の中ではアレだったんだろうな。
共感ばりばりに頭をふる(ロッキング)。

 

そんなこんなでオジサンとの熱いライブをかわしつつも、椅子の感触もしっかり確かめ、その結果買うことになったんだ。
最後にオジサンと「またセッションしよう」と約束をつつ、熱く握手を交わし別れた。

 

2週間後くらいにロッキングチェアが家にきた。

 

実際はけっこうでかく、玄関の幅ギリギリで、角度を調整しないとうまく入れられなかった。
傷つかないかヒヤヒヤもんだ。
ショールームだとそんなでかいと感じなかったが、家だとでかく感じたよ。

 

しかし部屋に置くと、イイ!
この椅子があるだけで全体の雰囲気がガラッと変わる。
ここはどこ?日本なの?そんな気分。
また、なめらかな職人芸による木の美しさ、イイ!

 

そして座る。
座り、少しとまどいながら揺らす。
ユラリ。

 

今度は少し力をこめて揺らす。
ユラリ、ユラリ。

 

何度も揺らしているうちに、じょじょがとまどいが消えていく。
ユラリ、ユラリ。

 

ユラリ、ユラリ、ユラリ。

 

ユラリ。

 

ユラリ、ユラリ。

 

そしてじょじょにイメージが重なる。

 

外国の田舎のおばあさんが、暖炉のそばで揺れている姿を。

 

あの田舎の情景を。

 

落ち着くわー。

 

 

今はシゴトの合間の休憩の時に座ったり、読書したり。
何もしなくてもボーと座ってたりもする。
たまに、いつの間にか寝てしまったりすることもあるよ。

 

なんで揺れているのが落ち着くんだろうね?不思議だよ。
母さんにも味あわせてあげたいよ、この椅子の感じを。

 

そんな感じで揺れている毎日でした。
ただの家具の自慢かな?

 

それじゃあ、また。