田舎の母に捧げるバラッドK

フシギな都会にいる僕が、田舎の母に送るコトバ

クマが現れたようなので、僕は通帳をもって逃げる

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やあ、母さん元気かい。

 

今年はそっちではクマの出没が異常に多くなっているんだって。
しかもうちの町でも何度か目撃情報があったらしいじゃないか。

 

僕がいた頃に記憶しているのは、小学生の時に1度だけ町で出没情報があったけど、
それ以来、出没情報なんて全然出ることはなかったのに。
いったい今年はどうしてしまったのだろうね。

 

しかも山あいの地域の方では、タケノコ採りでクマに襲われ続けて何人か亡くなった人がいるんだって?
続けてそういうことが起こるなんて驚きだよ。

 

人を襲い、偶然にも人を食べてしまったクマ。
そういう人の味をしめたクマは人を「獲物」と判断し、人を襲うようになるんだってね。
そうなってしまった危険なクマには鈴よけも全然効かないみたいだし。

 

しかし、そんな危険な中でもタケノコを採ろうとする人が途切れないんだって?
いったいどうしたのかな。
人はクマと出会わないうちに、クマの恐ろしさを忘れてしまったのかな。

 

でも調べてみたら、タケノコ採りもけっこうな儲けになるらしいじゃないか。
短いタケノコ採りの期間で販売して、けっこうな儲けを出す人もいるようだし。

 

たしかに危険なクマのせいで山に入ろうとしなくなる人が増えるだろう。
すると「競争してたライバルが減り、自分がより多くのタケノコを採れる!」と考える人がいてもおかしくないか。
タケノコ採りで儲ける味をしめてしまった人たちか…

 

その気持もわからなくないな。
僕も危険をともなってでも採ろうと!…いやいや!僕は臆病者だから無理かな…いや!でもお金は欲しい…
でもでも!…いや!棒をもって、お腹に漫画雑誌を入れ!…まだ!あと一歩…

 

そうだ!コショウで身を守るのもいいかもしれない!
クマが現れたらコショウをしゅしゅと!そしたらクマは撃退!タケノコもゲットだ!お金もゲットだ!

 

 

ハハ…僕は何をいっているんだろうね。

 

これじゃあ僕がクマなのかもしれないね。
こっちで何かを食べて、味をしめてしまったクマなのかもしれない。
そしていつかは猟友会に撃たれるのかもしれない…

 

そんなこというと母さんは「おまえはクマじゃなくて、困った(くまった)子供だよ」っていいそうだね。

 

そうだね、母さんにとっては僕はいつまでたっても困った子供だ。
いっつも迷惑かけている。

 

まあ、こっちで少しは困った人間にならないように頑張るよ。

 

とにかく外に出る時はクマに気をつけて。
でも、いつか困ったクマが目の前にあらわれた時は…その時はね。
それじゃあ、また。